しかも問屋を介さず、メーカーと直取引することが文具業界の卸売業に脅威を与えている。
またアメリカからの大手ディスカウンターの上陸に加えて、国内でも文具メーカーが直販を始めた。 メーカーが直接エンドユーザーである消費者に販売していくのは、日本の商習慣では異例のことである。
なぜ、そのような構造が出現してきたのか。 その背景や、要因となったものを探ってみたい。
文具業界における取扱い品目はともかく膨大で、30万~40万アイテムといわれ、最近の消費者の嗜好の変化に応じるため種類は増加傾向にある。 このため、卸売業はメーカー系列があるものの、小売側からの注文に迅速・柔軟に対応したくても、注文がいつ発生するかもわからない膨大な商品を、常時在庫することができないという事情があった。
しかしながら、そういう川中の事情を小売側が許すわけがない。 当然、厳しい納期を要求してくる。

小売からの注文を、指定された納期に間に合うようにメーカーに発注し、卸売業に届いた商品を小売側に配送するのが従来のシステムだった。 それが前述した理由から、在庫と配送をいつの間にかメーカーに依存するようになっていった。
さてここで、卸売業がどのような機能を持っていることで「存在価値」があったのか、いわゆる「問屋機能」について改めて確認してみたい。 当然これは、文具業界以外の卸売業にも共通することである。
それは基本的に「在庫機能」「配送機能」「金融機能」の三大機能である。 この三大機能を介して、小売業とメーカーの間をつなぐ役割を卸売業は果たしてきた。
しかしながら文具業界の問屋は、たとえアイテムが膨大になったからとはいえ、在庫と配送をメーカーに依存したことは、自らの手で「存在価値」の2/3を放棄してしまったことを意味している。 確かに、メーカーに在庫させたり、直送させれば卸売業側にコストはかからない。
その時点でいえば、卸売業にとってはメリットのある選択だったといえる。 だが、メーカー側の見解は違う。
「在庫はしない、配送はしない、金の手当てだけする」、これでは卸売業の存在価値が疑問視されてしかるべきだ。 結果的には「これでは問屋は不要」の認識を強めることになった。
唯一残った「金融機能」さえも危くなりつつある。 卸売業自体、資金的にこの機能を持続させる体力が落ちてきており、また昨今のように市中金融の貸し渋り傾向が強まる状況下では、運転資金の調達も思うに任せられなくなってきている。


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